稲生物怪録絵巻の30日間(7月1日-30日)一覧表


稲生物怪録絵巻(堀田家本)より


日数   あらすじ(妖怪の画像は下線部をクリック)
1日  平太郎宅に髭手の大男が現れ、平太郎をわしづかみ。大男の目から太陽のような光が。
刀で応じると姿を消した。権八宅に一つ目童子も。
2日    夜になり、行灯の火が突然燃え上がるが、平太郎は驚くことなく、そのまま眠ってしまった。
次の日、焼け跡すら見あたらない。その夜、床にはいると居間で水がざぶざぶとわき出す。
しばらくすると水はひいてしまった
3日  居間の隅の穴から女の逆さ生首が、笑いながら飛び歩き、平太郎をなめ回し始めた。
その気持ちの悪いことといったら・・。青瓢箪の怪。
4日    カメの中の水が凍り、茶釜のふたがあかず、紙が蝶のように舞う。
5日  大きな石の妖怪。よく見ると八方に足、カニのような目がついている。
がさがさと近寄ってくるが、平太郎は相手にしない
6日  老婆の大きな顔が戸口から平太郎を見つめる。
老婆の眉間に小柄(づか)を打ち込むが、痛そうな顔もしない。
翌朝見ると眉間に打ち込んだはずの小柄が宙に浮き、しばらくして落ちた。
7日    やってきた親友たちが門の内側に見えた大きな坊主を槍で突いたが、
槍を奪われた。家の中に入ると、外からその槍が投げ込まれてきた。
8日    親戚の者と話していると、塩俵が二つ、三つ飛来し、塩をまく。
しばらくすると、高下駄が飛んできて、ふすまを破って飛び出した。
9日    知人の弟に化けた妖怪が名刀で石臼の化け物に斬りつけた。
「刃こぼれし、兄に申し訳がたたぬ」と切腹し、いつのまにか姿を消していた。
10日  懇意にしている知人の頭から、赤子が二人、三人と這い出してくる。
妖怪をおそれることはないが、懇意の知人に化けて出てくるのは困ったものだ。
11日    平太郎宅を訪れた親しい人の刀のさやを化け物が隠してしまった。
平太郎が声を荒げて怒ると、天井からさやが落ちてきた。
夕方来た女をどこからともなく現れたたらいが追いかけ、女は逃げ出してしまった。
12日  押入のなかから大きなひきがえるが現れた。
腹の赤いひもを握ったまま平太郎が寝て、次の日起きると、
ひきがえるは葛籠になっていた。祈祷札の怪。
13日    平太郎が寺に行く途中、雷のような光る赤い石が空から落ち、
一緒にいた親友の腰に当たってしまった。
平太郎は親友を背負って家へ帰ったが、親友たちは震え上がった。
14日    裏の臼部屋からのつく音がする。
臼が勝手に動いていたのでついていない米を入れたが、
翌日、臼の中の米は白くなっていなかった。
夜中、天井に巨大な老婆の顔が現れ、平太郎の顔をなめまわした。
15日    居間の額から「トントサココニ」と聞こえる。
額の裏にかつて家来がなくした刀の鞘があった。夜になると、
畳もなにもかも糊でも塗ったかのようにねばつきだした。平太郎は柱に寄りかかって寝た。
16日  田楽みたいに串刺しになった目の丸い小坊主の首
次々と平太郎の枕元をはねまわった。
17日    親友がやってきて置いた刀がみんな消え、探してみると、
蚊帳の上に置いてあった。しばらくすると机や菓子鉢が飛び回る。
みんな顔を伏せて、耳をふさいだ
18日    奥の間に行ってみると、畳が細い糸で天井からぶら下がっている。
夜になると、納戸で音がする。錫杖が鳴る音だった。
19日    親友のすすめで罠を仕掛けたが、いつの間にか妖怪に奪われ、
屋根の上に投げ捨ててあった。
罠の名人は「狐か狸の仕業とは思えぬ。まさに妖怪」と恐れ入った。
20日  絶世の美女が餅菓子を持って見舞いに来た。
帰るという女を見送りに門までいくと姿がかき消えた。
餅菓子の入った重箱は隣の家のものだった。
21日    行灯に顔や形がはっきりと見える人影が映った。
何か書物を読んでいる様子だが、言葉の意味は聞き取れない。
22日    朝起きてみると、シュロぼうきが居間の中をはいていた。
平太郎はこれには思わず笑ってしまった。
23日  隣の家でお椀や机など、家財道具が投げ出されていた。
この夜、平太郎の家では巨大な蜂の巣がかかり、巣から赤や黄色い泡が吹き出した
24日  大きな蝶が部屋に飛来し、柱に当たると、何千もの小さな蝶になり、飛び回った。
夜になると行灯が大きく燃え上がったが、平太郎は気にも止めなかった。
25日    縁側に降り、足もとをみると、青い大入道がいた。まばたきする音がぱちぱちと聞こえる。
泥の田圃に足をつっこんだように粘り着き、縁側にやっと上がった。
26日  女の首が枕元に飛んできて、平太郎を見つめた。
女の首の下が手になり、平太郎の体をなでまわした。
27日    昼というのに部屋が薄暗く、闇のようになると、明るくなる。
夜になるとどこからか拍子木の音が。
28日  遠く聞こえていた尺八の音が近づいてきた。何人もの虚無僧
平太郎の家の中に入ってきた。
部屋いっぱいになった虚無僧の尺八の音は耳をつんざかんばかりだった。
29日    「今日の妖怪は何だろう」と平太郎が思っていると、気味の悪い風が吹き込み、
星の光のような蛍火が粉みじんになって部屋の中に飛び込んできた。
30日  裃を着た四十歳くらいの武士が部屋に入ってくる。
部屋の炉の灰が大きな頭になり、ミミズが飛び出してきた。
壁には目玉の怪。武士曰く「拙者は山ン本五郎左衛門ともうす魔物。
そなたのような勇気のある者は知らぬ。拙者をいつでも呼び出せる
小槌を与えよう」と木槌を平太郎に手渡す。武士は多くの妖怪が担ぐ
かごに乗り、雲のかなたに消えていった。

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